Forum2050通信2025年11月号

forum2050newletter11月号

ご支援者の皆さま

こんにちは。
Forum 2050広報担当の駒走(こまばしり)拓三です。

前回のメルマガ10月号では、カンボジアとタイとの国境紛争についてお話ししました。その後、両国首相は26日クアラルンプールにおいて、トランプ米大統領らの立ち会いの下、和平に向けた共同宣言に署名し、宣言の履行が今後の焦点になると思われていました。ところが、10日タイ軍の複数の兵士が、国境での地雷の爆発で負傷したことを受け、同国は隣国カンボジアとの和平合意の履行を一時停止すると発表しました。負傷した兵士は片脚を失う大けがを負っており、紛争が終結したとしてもその傷が癒されることはありません。その後、現在まで新たな進展はなく、和平の道のりがいかに険しいかを実感しています。

さて、2025年メルマガ11月号は、①これまでの活動の成果と、②団体としての今後の方向性、そして、③今月訪れた長岡での学びの三つについて報告させていただきたいと思います。

メルマガに対する質問、ご意見ありましたらメール等でお知らせください。こんなことが知りたいなどのご要望も大歓迎です!

目次

―今回のニュースレターのトピック―

  1. 【団体活動実績】
  2. 【Forum2050代表 戸田隆夫からの月例報告】

団体活動実績

11月の主な活動は以下のとおりでした。

8日 長岡市グローバルリーダープログラムにおける学生との対話(中高大生35人)

20日 西鎌倉小学校での対話(小学4~6年生347人) 

Forum2050代表 戸田隆夫からの月例報告

みなさま

今年もはやあと1ヶ月余りとなりました。皆様におかれては、お元気でお過ごしでしょうか?

 今月は、①これまでの活動の成果と、②団体としての今後の方向性、そして、③今月訪れた長岡での学びの三つについて報告させていただきたいと思います。

和光市立第三中学校での対話

活動の成果についての新たな学び

 Forum2050の活動はおかげさまで、少しずつですが、学校や自治体の関係者にも知られるようになってまいりました。団体としての最初の本格的な講演活動となったのは、2023年10月の瀬戸市立幡山中学校においてですが、それから2年余りの歳月を経て、小学校4年生から大学院生(留学生を含む)まで、これまで、50を超える学校等で、9300人を超える若者・こどもたちを対象に講演をし、あるいは、非常に限られて時間ではありましたが、対話をすることができました。これに加えて、若手の運営メンバーによる交流会や在外のメンバーによる活動を含め、さらに、公開授業やJICAや自治体とのコラボイベントを含めると、おそらくその数は軽く一万人を超えることになると思います。

 ただし、内部での議論でも指摘されているところですが、これらの数が重要なのではなく、問題はその中身です。単に話をした、ということではなく、その結果、若者・こどもたちの心がどのように変化し、育ったか、あるいは、未来の世界に向けてのどの程度関心が高まり、他の人々と共に未来を創っていこうという意欲がどの程度育ったか、とういうことが私たちの活動の成果として、しっかりと見える化されることが大切だと考えています。

 これについて以前にもご報告したとおり、学校現場等における団体としての活動の前後に実施しているアンケートの分析に関し、興味深い発見がありました。運営メンバーでデータサイエンスを大学院で専攻している久永さんの分析によるものです。まだまだこれから検証が必要ではありますが、そこで出てきた仮説は次のとおりです。

【ステップ1】(未来共創の講演・対話等の介入/刺激で)未来の世界への関心が高まる

【ステップ2】(その結果)広い世界をもっと知りたいという思いや、他の異なる人々とつながりたい、わかり合いたいという思いが強まる。あるいは、世界や他の人々とのつながりが自分を支えて生かしているという思いが強まる。

これは、久永さんが、これまでの講演・対話の前後に実施しているアンケートから得たデータを「ピータークラーク因果推論」(すいません💦戸田は正確に説明できません)という最近のデータ分析の手法を用いて、解析してみた結果なのですが、これについては、これから、外部の学識者や、団体のメンバーで学校現場の責任者である梶田さんなどとともに、さらに、研究を進めていく予定です。

ここから先は、私(戸田)の希望的観測ですが、この先にさらに次のような「ステップ3」もあるのでは、と考えています。

【ステップ1】(未来共創の講演・対話等の介入/刺激で)未来の世界への関心が高まる

【ステップ2】(その結果)広い世界をもっと知りたいという思いや、他の異なる人々とつながりたい、わかり合いたいという思いが強まる。あるいは、世界や他の人々とのつながりが自分を支えて生かしているという思いが強まる。

【ステップ3】(その結果)向社会性の欠如や未発達、あるいは、社会とのつながりに悩みや課題を抱える若者・こどもたちの「生きづらさ」に対して、なんらかのポジティブな影響を与え、ひいては、彼らの幸福度を高めることに貢献する可能性がある。

以前にも述べましたが、学校現場を巡り、接してきたこどもたちの中には、「世界平和なんて大きなことはピンと来ない。それより、今の自分の生活、今の自分が置かれている環境をどのように生きやすいものにするか、の方がはるかに大切」といったような率直な所感を述べてくれるこどもたちが少なからずいます。正直申し上げて、そんなこどもたちに対して、「未来の世界は君たちが創っていくんだよ」とか「世界の平和はとても大切でそれを自分ごととして考えよう」とか、叫んでも、なかなか通じるものではありません。

そんなときにどうするか?

私の場合は、幼少期から大人になるまで抱えてきた「生きづらさの自分史」をこどもたちの前で告白し、それが、世界とのつながり、未来とのつながりの中で、どのように解きほぐされてきたか、について、自分の体験、特に、国際協力の現場での失敗や感動の体験を話すことで、こどもたちの関心や共感を得ようと試みてきました。

 このようなアプローチがどの程度奏功したか? そこは、我田引水にならないように、客観的に評価をしていく必要がありますが、少なくとも前後のこどもたちの声やアンケートへの回答態度の変化からは、多少なりとも、手応えを感じているところです。これらについては、久永さんや梶田さんを含め団体の関係者のみならず、外部の有識者からも積極的に学びつつ、洞察を深めていきたいと思っています。当面の目標として、社会情操教育に関する学会誌への論文投稿と、あと、非常にハードルは高いですが、平和教育などに関する国際学会誌への投稿も視野にいれています。

長岡市国際交流協会主催イベントにおける対話

団体としての今後の方向性

 代表である私や国際協力の経験値がある副代表(駒走副代表はカンボジアに、庄子副代表はバングラデシュにそれぞれ在勤中)が、講演・対話活動を行う、団体はそれらを支援する、という枠組みだけがForum2050の存在意義ではありません。もちろん、これらは、これからも磨き上げ、継続していくつもりではありますが、私たちにはもっと大きな夢があります。(注:「夢」(Dream))が個人のものであるとすれば、多くの人々と共有可能なものとして「志」(Aspiration)と呼んだ方がいいかもしれません。)

 それは、これまでも幾度かご説明した「Imagine2050」というグローバル公共財を創設し運営することです。若者・こどもたちが主体となって、国境や文化・言語の違いを超えて、つながり、未来の世界に向けて想いを語り合い、共に未来を創っていく学びを得るためのプラットフォームを創り出すことです。お陰様で、講演・対話活動で貴重な学びを得ている中で、私たちは、次のステージに団体として向かうことを本格的に考えなければならないという議論を今団体の内部で行っています。

 当然のことですが、私たちのような小さな小さな団体が、このような途方もない志を単独で成し遂げることはできません。むしろ現実的には、多くの力のあるステークホルダーの共感を得て、世界がその方向に動き出すように、私たちは、それらのステークホルダーの情熱に点火をする役割を果たすことができるかどうか、というところに留まるかもしれません。しかし、どこまでいけるかは、さておき、いずれにせよ、そのための道程において必要不可欠なことがあります。それは、そのようなグローバル公共財としてのプラットフォームにおいて人々に共有されるコンテンツとして具体的なものを提示し「見える化」することです。

 少し抽象的な議論となってしまい恐縮ですが、もう少し教育現場に即して申し上げると、当面の第一歩として、「未来世界を共創する」ということについてこどもたちの心を動かすような興味深いコンテンツ(教材や学習のためのガイドライン)のようなものを創っていくということに近い作業です。そこでは学校の先生のみならず、著名人や豊かな経験値を持つ大人がこどもたちに語りかけるというものももちろん大切ですが、それ以上に大切なものとして、さまざまな状況にある同年配のこどもたちが率直に語る様を共有するということは、私たちのこれまでの経験からしても、より多くのインパクトを生み出すことがわかっています。

 私たちは、有識者を巻き込みつつ、団体の内外でこのための議論を進め、それを団体としての具体的な活動に落とし込んでいきたいと考えています。

具体的には、

【これまで】講演・対話活動を通じ、こどもたちの心がどのようなことで動くか育つか、についての学びを深める。

【これから】講演・対話活動を継続しつつ、こどもたち自身の発話や対話を通じて、こどもたち同士がそこから学び合うような場を創り、それを「教材」(学びのための素材/コンテンツ)として集積していく。」

 という展開に発展させていくことを含めて考え行動していきます。

 今月、長岡市国際交流協会の招きで、「平和な未来を考えるために自分達が出来ることは何か?」というテーマで、若者たち(中1~大学生)と対話をしてきました。彼らは、自らの意思で時間とお金をかけてこのイベントに参加しており、かつ、その一部は、その後、真珠湾攻撃に関するハワイへのイベントに出席する予定であり、平和な未来について、おそらく普通の若者よりも強い関心をもっている様子でした。

長岡市でのイベントでは比較的じっくりと話し合うことができたが、、、

しかし、対話を進めていくと、「日本において急増している外国人への対処について不安に思っている」、「日本を経済的に利用しているとしか考えられないような外国人の態度や行動に憤りを感じる」、「(私から憎しみの連鎖を断ち切ることの困難さについて話をしたことを受けて)頭の中で考えていた世界平和と自分の心の動きは乖離している。平和を自分ごととして考えることは、実はそう簡単なことではないとわかった」などなど、彼らの率直な本音や戸惑いがあふれ出てきました。

 私は、彼らが胸襟を開いて率直に想いを語ってくれることをとても嬉しく思いました。同時に、このような彼らの悩みや戸惑いのプロセスこそが、同世代の若者・こどもたちの心を動かし、未来の世界をどう創っていくかについて、それぞれが自分の頭で考えるきっかけになるのでは、とも思いました。

 これまで講演・対話やオンラインによる交流などの活動が主体でしたが、これから新玉段階に移行し、Imagine2050に向けての活動を稼働させていくつもりである、と先に述べましたが、長岡での経験は、まさに、これらの二つの活動の必要性を痛感させる貴重なきっかけともなりました。

 ただ、同時に、これによって、新たな課題も見えてきています。つまり、講演や対話は、語り部として私や他のメンバーが時間を割けばよかったわけですが、たとえば、Imagine2050に向けてのコンテンツ作成ということになると、より多くの手間暇や費用がかかります。それをどうやって捻出していくか、また、そのための体制をどうやって整備強化していくか、が大きな課題として見えてきています。これについて、なかなか簡単で楽な解というものは、ありません。しかし、だからといって、歩みを止めることなく、遠くの北極星を見据えてこれからも歩んでいきたいと私たちは決意を新たにしています。

 どうかそんな私たちのためにこれからも力を貸してください。

 どうかよろしくお願いします!!!

 末筆となりましたが、みなさんにおかれては、これから冬の寒さが本格化する中で、どうかくれぐれもご自愛ください。

2025.10.20
杉並区高円寺にて
戸田隆夫
携帯:08058967912
メール:toda@forum2050.com

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Forum2050は、「世界のこどもたち 一人ひとりの未来への想いが人類の未来を創る」をコンセプトに、企業や学校、教育機関等と連携しながら、子どもたちと共に未来の人類社会の平和と発展について、子どもたちが考えるきっかけを創造しています。

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