ご支援者の皆さま
こんにちは。
Forum 2050広報担当の駒走(こまばしり)拓三です。
2025年メルマガ9月号は、杉並区によるNPO助成金事業の支援て開催した「平和を自分ごとと考えるためのワークショップ」のご報告です。また、当日スペシャルゲストとして参加いただいた日本ウクライナ友好協会 KRAIANYのイーゴル氏からも、メッセージをいただきましたので併せてお届けします。「平和は当たり前のものだと思ってしまえば、その価値を見失い、気づいたときには取り返しがつかなくなる危険があります。」という言葉は、緊迫する世界情勢の中で、我々一人ひとりが心に刻むべきメッセージだと感じました。
メルマガに対する質問、ご意見ありましたらメール等でお知らせください。こんなことが知りたいなどのご要望も大歓迎です!
―今回のニュースレターのトピック―
- 【団体活動実績】
- 【イベント開催報告】
- 【日本ウクライナ友好協会 KRAIANY 副理事長イーゴル氏からのメッセージ】
- 【Forum2050代表 戸田隆夫からの月例報告】
団体活動実績
9月の主な活動は以下のとおりでした。
4日、8日 横浜市立篠原小学校での講演(対話)
11日 教育協力ウィーク2025
16日 日本ウクライナ協会との打ち合わせ
24日 東洋英和女学院小学部6年生との対話
27日 文京区立小日向台小学校で1-6年生の父兄との対話
28日 ジョージアとの交流会(予定)
イベント開催報告
2025年8月24日、Forum2050は、杉並区によるNPO助成金事業の支援を得て、平和を自分ごとと考えるためのワークショップを開催し、地元の杉並区で初めてとなる貴重な一歩を踏み出しました。
37度を超える日曜日、荻窪の会議室には、小学生、中学生、高校生、大学生から、シニアの方々まで、多様な世代が集い、午前と午後を併せて29名の参加者、および関係者10名が、平和というものを自分ごととして考えるために、とりわけ、未来を担う若い人たちが、そう思えるようになるために、私たち一人ひとり何を想い、考え、どのように行動すべきか、について話し合いました。
イベントの司会進行は、すべて団体の若手メンバー(小学生~大学生)がとり行いました。今回、イベントの最後に、参加者の皆さまにアンケートにお答えいただきました。我々のメンバーの感想と併せて、以下に報告させていただきます。

イベント参加者数
【午前】参加者計:28名(18名+関係者10名)
【午後】参加者計:20名(11名+関係者9名)
アンケート結果総括
問1 このイベントをどのようにして知りましたが
①チラシ12名 ②杉並区の広報2名 ③その他(友人からの紹介等)34名
問2 今回のワークショップ全体についてどのように満足していますか
①非常に満足37名 ②やや満足4名 ③どちらとも2名 ④やや不満0名 ⑤非常に不満0名
問3 ワークショップ参加前後で、『平和』への関心・意識は変わりましたか
①とても高まった25名 ②少し高まった7名 ③変わらない1名 ④少し低くなった0名 ⑤とても低くなった0名
問4 今回の今回のワークショップで特に印象に残った内容や場面あるいは全体を通じた感想を教えてください
・イゴールさんのウクライナでの話が印象に残った。実際に戦争を体験しないと平和を自分としてと考える事ができないと思った。
・未来を担う子ども達が堂々と自分の気持ちや感じたことを発表していて素晴らしい。
・ただ聞くだけでなく、考えたことを自分で伝えるのが難しかったけど、言葉にする事で自分がどう考えていたのかが分かった。
・「今、平和だから何もしなくて良いのではないか」という考えではなく、「今ある平和は先人の方々の努力により享受できたもので、それを維持するために私たちも頑張っていかなければならない」ということを改めて強く感じた。
問5(今回のワークショップや弊団体の活動について要改善点やご提案があれば教えてください)
・将来、もっとたくさんの外国人にも参加してもらいたい。
・平和論の歴史や思想の概要説明が少しあっても良かった。
メンバーの感想
・今回私が1番驚いたことは、参加された方達の様々なバックグラウンドです。意見共有の際などで、これからは仕事においてどう伝えて行けるかを考えたい、授業でしか平和学習はしないので自分で調べてみたい、などと今までとは少し違う意見が出たことで、様々なところに活動が広がっていると思えました。
・今回の杉並イベントでは、「杉並発 平和=自分ごと?」をテーマにしてイベントをしました。僕は平和について考えるようになったきっかけと平和はどう考えられているかを話しました。グループワークでは、班ごとに分かれ参加した方が平和について考えるきっかけを話し、どんな人でもニュース等を見て「何かしたい、何かできることはないか?」と思っても何をしたらいいのかわからないという人がたくさんいるのだなと思いました。僕もニュースで戦争の状況や貧困の問題を知り、どうしていいか分からず一番身近にあった募金をすることしかできませんでした。今回のイベントを通じて危機感はあっても動けない(どう動いていいかわからない)人のためにも、スモールステップでも沢山の活動をしていくことが大切だと感じました。

・後日、参加者の一人(中学生の娘を持つ母親)より、イベントをきっかけに子どもの意識・行動に変化があった旨の報告を受けた。具体的には、親子で戦争の歴史を語り合い、終戦特集の新聞記事を一緒に読むといった行動が見られたとのこと。当日の様子では緊張しているように見えたが、内面では大きな変化が起きていたことが推察される。結果的に、本団体が子どもに期待する「気づき」や「行動変容」を引き出すことにつながったと考えられる。
・平和には唯一の正解はなく、参加者それぞれが「自分ごと」として考えを持ち寄り向き合う中で、世界と自分との距離やその難しさを感じながらも、日常の小さな行動を大切にしていこうという前向きな気持ちが育まれるイベントになりました。また、平和の概念は人それぞれの経験によって形づくられる一方で、戦争はある日突然始まってしまう現実もあるため、今ここにある平和を守ろうとする意識の大切さが、会場全体で強く共有されました。2時間があっという間に感じられる有意義な時間となりました。
・地域の人々を対象とする平和の対話イベントは、Forum2050にとって大きな挑戦でした。酷暑の中、休日の大切な時間を割いて、さまざまな年代の方々に集まって頂けたことは、Forum2050の取り組みに新たな地平を切り拓く契機になったと感じます。「大切な人を守る気持ちが平和の出発点になる」、「今日この場にいない人々の共感を得るためにどうするかが課題」といったコメントが心に響きました。最近、朝起きて、ニュースを聞くことがとても苦痛です。力のある者が、自らの正義を掲げて、力の弱い者を平気でねじ伏せている。そんな世界は絶対に嫌だという気持ちを多くの人々と共有し、平和の輪を広げたい。そんな気持ちで、Forum2050の活動を行っていきます。
【日本ウクライナ友好協会 KRAIANY 副理事長イーゴル氏からのメッセージ】
日本は戦後80年、戦争を経験することなく平和を守り続けてきました。これは決して偶然ではありません。皆さんのおじいさんやおばあさん、前の世代の方々が必死に努力を重ね、その成果として築き上げてきたものです。けれども「平和は当たり前のものだ」と思ってしまえば、その価値を見失い、気づいたときには取り返しがつかなくなる危険があります。
私の祖国ウクライナも、11年前までは平和に暮らしていました。ところが2014年、ロシア軍がクリミア半島や東部に侵入し、多くの人々が苦しむことになりました。そして2022年初め、国境付近に軍隊が集まり、家族や学校、思い出の場所がどうなるのか、不安が高まっていきました。2月24日の朝、全面的な侵略が始まり、ウクライナ人は第二次世界大戦以降初めて警報の音を聞きました。日常は一瞬で崩れ去り、そのサイレンは三年半が過ぎた今もなお、毎日のように鳴り続けています。街は破壊され、学校や病院までもが攻撃されるという、想像を絶する現実が広がったのです。

平和を失う出来事は、誰にとっても突然訪れる可能性があります。現在ロシアが占領しているウクライナの面積は、日本に置き換えれば北海道と青森県、岩手県を合わせた広さに相当します。もしそれが日本だったら——と想像してみてください。

多くの専門家は「ウクライナは一週間ももたない」と予測しました。しかし三年半が過ぎた今も、私たちウクライナ人は自由のために戦い続けています。平和は与えられるものではなく、守り、築き直していくものです。私たちは失われた平和を取り戻すため、今も懸命に努力を重ねています。
その中で私が強く感じるのは、日本の平和の尊さです。日本に避難してきたウクライナの人々や、リハビリに励む方々は口をそろえて言います。「日本は平和です。飛行機を降りた瞬間から、それを実感しました」と。
日本の若い皆さん。
どうか、いつか「平和を取り戻さなければならない」状況にならないように、今この時から、そのかけがえのない平和を守り続ける努力を重ねてください。
心からお願い申し上げます。
します。
NPO法人 日本ウクライナ友好協会 KRAIANY 副理事長 IEVTUSHUK IGOR
Forum2050代表 戸田隆夫からの月例報告
みなさま
ロシア20~25万人、スーダン15万人、ウクライナ6~10万人、ミャンマー8万人、パレスチナ6.5万人、ブルキナファソ7500人、ハイチ5000人、イスラエル1700人、コンゴ民主共和国1000人、、、、。
世界の各地で進行中の戦争、武力紛争、内戦による死者は、近年増加の一途を辿っています。
今月に入って二度にあたり、米軍は、「確認された麻薬テロリスト」(トランプ大統領)の船を公海上で爆破しました。
ネタニヤフ大統領は、カタールのハマス拠点への爆撃を行った後、「テロリストはどこに隠れても、庇護されるべきではなく、我々の攻撃の対象となる」として越境自衛権を正当化しました。
世界各地の世論調査(PRRI・YouGov・Edelman・Ipsos・WVS)によると、アメリカを含む世界の各地で、暴力容認の傾向が着実に高まっています。(どの調査でも、「いかなる場合でも暴力は容認されない」と主張する人々が依然として多数派を占めていますが、質問の設定の仕方に応じて、1~3割の人々が、暴力を用いることもやむなし、と主張し、かつ、割合が徐々に増えてきています。)
しかし、これらの世界の変化が、日本では注目を惹くことは少なく、多くの日本人にとって、戦争は80年前のことであり、世界各地の武力紛争は対岸の火事ということであり、日本人の視界の真ん中に来ることはありません。
8月24日、Forum2050は、杉並区の助成を得て、区内初のイベントを開催しました。(https://forum2050.com/2025/09/03/suginami-peace-workshop/)
テーマは、「すぎなみ発、『自分ごと』としての平和」。
杉並区は、ビキニ環礁における水爆実験の直後から、おかあさんや魚屋さんが中心となり、原水禁禁止運動の拠点となりました。実験後一年足らずで署名運動は3400万筆の署名を得、これが原動力となって、初の原水爆禁止世界大会が広島で開催されました。
特定の政党や団体ではなく、無名の市民たちが立ち上がったことが、日本のみならず世界の市民運動の歴史に刻まれることになりました。
今回の8.24のイベントにゲストとしてお招きした日本ウクライナ協会クライアニの副理事長イーゴルさんからは、「守らなければならない平和」(でもあまりにも当たり前となっているので普段意識されない平和)と、「取り戻さなければならない平和」(でも一度崩れてしまうと取り戻すことが限りなく難しい平和)の二つについてお話をいただきました。また、意見交換を始める前に、途上国のこどもたちの動画も上映しました。団体の2人の副代表が駐在するカンボジアとバングラデシュで作成されたもので、それぞれの国で、こどもたちが未来への想いを語っているところをまとめたものです。
集まったみなさんからは、「そもそも平和って何?」、「平和を口に出すことさえ憚られる雰囲気が周りにある、、、」、「平和が身近に感じられるようになったのは、身近な人々の実体験の影響が大きい」、「子どもができて、未来に注意が向かったとき、平和の大切さを意識するようになった」、「平和というと日本の経験がベースになることが多いが広く世界の動きに目を向ければ、と思った」など、さまざまな年齢、立場の人から率直な意見が出されました。イベントの後も、「中学生の娘が子ども新聞を熟読しはじめた」、「若い人たちが真摯に語る姿に共感を覚えた」、「自分にも何ができるのか、考えるきっかけとなった」などと感想が寄せられました。

関係者を除けば、参加延べ人数は50人程度ときわめて小さなイベントではありましたが、その分、参加者ひとり一人が発言し、さまざまな立場からさまざまな意見を述べ合うことができたのは貴重な収穫であったと思います。さらに、このイベントに先立ち、杉並区のみならず、区の交流協会、協働プラザ、区内の活動家、学校などの関係者とネットワークを創り上げることができたことも成果であったと思います。参加者の取り次ぎで区内の小学校に御挨拶に伺い、また、区内の活動家からお声かけをいただくようにもなりました。その中のお一人は、「自分は世界200カ国・地域のカルタを作ったが、何かコラボができないか」との嬉しいお声かけをいただき、「それでは平和のためのカルタを作れないか、考えてみましょう」とお話をさせていただきました。
その後、間髪を入れず、9月11日に、JICAの本部で同じようなテーマでイベントをさせていただきました。JICAが主催する教育協力ウィークの中の一つのイベントとして、昨年に引き続き、平和のためのイベントを企画し枠をいただいたものです。ハイブリッドの開催を予定しておりましたが、直前になって主催者側の判断でオンラインのみとなり、また、当日の線状降水帯による集中豪雨で現地参集を予定していた運営側の関係者やゲストがJICAまでたどり着けないなど、いろいろと不測の事態がありましたが、みなさんの協力を得て、なんとか予定通り開催することができました。
このイベントでは、イーゴルさんに加えて、一般財団法人すこやかさゆたかさの未来研究所代表理事の畠中一郎さんからもお話をいただきました。畠中さんは4年前にALSと診断されましたが、それをきっかけに、財団を立ち上げ、自分自身、進行するALSと向き合いながらも、同様に困難を抱えて生きる人々の支援活動を行っています。また、およそ35年前には、冷戦終了後混乱が続くザイール(現コンゴ民主共和国)で私(戸田)と苦労をともにした経験もお持ちです。11日は、豪雨の中、電動車椅子で逗子から麹町に向かったのですが、電車が動かずにたどり着けず、急遽、東京近辺のオフィスからの参加となりましたが、ご自身の経験を踏まえた平和への想いを切々と語っていただきました。余命宣告を受けた人の気持ち、戦争で大切な人を亡くした人の気持ち、それらはわかろうと思ってもわかることのできるものではないが、そこに寄り添い、共に明るい光を目指して歩むことの大切さについて、そして、とりわけ、普段当たり前と思いがちな平和を、周到な配慮と準備をもって守り抜いていくことの大切さについて、率直な想いを語っていただきました。
イベントの仕切りは、いつもどおり、Forum2050の若手メンバーが行いました。今回は、筑波結花さん、板谷明香凛さん、そして、藤本真綾さんの三人が手分けしてMCを担当し、また、コメンテーターとしては、山際貫慈くん、そして、新しくメンバーになったばかりの三好華さん、天谷一葉さんにも、それぞれの想いを語ってもらいました。文字通り、若手パワーが存分に発揮されたイベントとなりました。少し我田引水となってしまうかもしれず恐縮ですが、Forum2050の若手メンバーの力は、イベントを重ねるごとにパワーアップしているような気がします。また、この点は、昨年以上に、このイベントに参加したみなさんやJICAの関係者にも強い印象を与えたことと思います。若手メンバーの成長が、ひとり一人の人生を豊かにするとともに、みなで協働する際のパワーになっていけば、素晴らしいと思っています。
さらに、特別支援学級での教師としての経験を踏まえ、梶田真琴さんからも発言があり、畠中さんのお話と共振しながら、置かれた状況が異なる中でわかり合うこと、思い遣ることの難しさと大切さを指摘してもらいました。
9月に入り、学校等での講演もまた始まります。皮切りは、新横浜の横浜市立篠原中学校6年生との対話で、これはすでに二回に亘り実施しました。24日には、東洋英和女学院小学部6年生との対話を予定しています。また、27日には、文京区立小日向台小学校で1年生から6年生までの保護者のみなさんと、平和についての対話を行います。
末筆となりましたが、みなさんにおかれては、残暑も厳しい折、夏バテ、秋バテにも気をつけて、くれぐれもご自愛ください。そして、これからもどうぞよろしくお願いします。
2025.9.16
杉並区高円寺にて
戸田隆夫
携帯:08058967912
メール:toda@forum2050.com
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